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日本の薬価:NHI薬価はどう決まり、そして毎年下がるのか

承認は日本市場への入口にすぎず、薬価がその市場に価値があるかどうかを決めます。日本は一つの薬に一つの償還価格を定め、比較薬または原価から算定し、外国価格と調整したうえで、その製品の寿命が尽きるまで毎年引き下げます。価格がどう決まり、なぜ下がり続け、そのルールが実際にどこで決められるのかを整理します。

日本の薬価:NHI薬価はどう決まり、そして毎年下がるのか
写真:東京都内の調剤薬局/撮影:運転太郎、CC BY 3.0。薬価が実際に支払われる窓口。

日本では、承認が第一の関門であり、薬価が第二の関門であって、市場に価値があるかどうかを決めるのは第二の方です。 ある薬が医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認を得て、保険給付が認められても、なお公的医療保険制度が割り当てる価格ゆえに商業的に成り立たないことがあります。その価格は、製造販売業者が定めるものでも、通常の意味で不服を申し立てられるものでもありません。

日本は国民皆保険の上に単一支払者的な価格制度を重ねています。償還されるほぼ全ての医療用医薬品は一つの公定価格、すなわち薬価を持ち、その価格はルールに従って算定され、外国市場と調整され、そして製品の寿命が尽きるまで毎年引き下げられます。外国の製薬企業にとって、この数字がどう決まり、それを決めるルールがどこで定められるのかを理解することは、承認そのものと同じくらい重要です。

以下では、その仕組みを地図にします。上市価格がどう算定され、なぜ下がり続け、商業的成功を捕える再算定があり、そしてどの時点で価格が「申請」から「政策の問題」へと変わるのか。これは特定の製品への価格助言ではなく、方向づけです。個別の価格算定こそ、きちんと行われるべき作業です。

一つの薬に一つの価格:薬価基準

土台となるのは薬価基準です。日本の公的医療保険で償還されるには、薬は薬価基準に公定価格とともに収載されなければならず、その価格が全国一律で制度から支払われます。製造販売業者が望む価格ではありません。支払者ごとに価格を交渉する余地は、実質的に単一の支払制度である以上、存在しません。

新薬は原則として年に四回、承認からおおむね60日以内、遅くとも90日以内に収載されます。つまり価格決定は承認決定の直後に続きます。価格を上市後の課題と捉える企業は、価格が定まる時点を既に逃しています。

上市価格の算定:二つの方法

全ての新薬の価格は二つの方法のいずれかで組み立てられ、どちらが適用されるかが最初の分岐です。

類似薬効比較方式。 効能・薬理が比較しうる既存薬があれば、新薬はそれに対して価格づけられ、一日薬価がその比較薬に合わせられます。これが一般的な道筋であり、比較薬の選択がその後の全ての調整の基準を定めるため、決定的に重要です。

原価計算方式。 適切な比較薬がない場合、価格は一から積み上げられます。製造原価、流通、研究開発、そして営業利益です。営業利益率そのものが、製品の革新性と、企業が原価構造をどれだけ透明に開示するかによって調整されます。原価計算は擁護が難しく、より晒されるため、良い比較薬があるかどうかが戦略全体を左右します。

価格を動かす補正加算

類似薬効比較方式では、基準となる価格に一連の補正加算が加えられ、それぞれが特定の価値を評価します。

加算評価する対象
画期性加算真に新規な作用機序と明確な臨床的優越性
有用性加算有効性・安全性・治療利便性の改善
市場性加算希少疾病など小さな市場の効能
小児加算小児の効能・用法
先駆加算日本で先駆けて上市する指定を受けた薬
特定用途加算特定の未充足ニーズの用途

これらは比較薬の基準を上市時のプレミアム価格へと変えるてこであり、これらに該当することは薬価算定組織、すなわち各製品の価格を算定する組織に対して行う立証です。比較薬を何とするか、どの加算をデータが支持するかという主張を組み立てることが、擁護しうる上市価格を得るための実質です。

外国平均価格調整

算定がどのような結果を出しても、それは外国平均価格調整によって枠がはめられます。日本の価格は、その薬の米国・英国・ドイツ・フランスでの薬価の平均と比較されます。その平均を大きく上回れば平均に向けて引き下げられ、大きく下回れば引き上げられます。

実務上の帰結として、主要参照国での価格設定が日本で得られる価格に直接影響し、製品を世界のどの順序で上市するかは、単なる商業判断ではなく日本の価格判断でもあります。

なぜ価格は下がり続けるのか:毎年改定

日本の制度を特徴づけるのは、上市後に起こることです。価格は薬価調査を通じて改定されます。薬価調査は、メーカー・卸・調剤の間で薬が実際に取引される価格を把握するものです。その実勢価格は公定薬価を下回るため、改定は公定薬価を実勢に向けて引き下げます。

かつては診療報酬改定に合わせて二年に一度でしたが、2021年以降は毎年行われます(毎年改定)。結果として収益曲線は一方向になります。特定の保護がない限り、製品の寿命を通じて薬価は下がるのみです。上市価格を前提とし、改定ルールが生み出す価格の軌跡を前提としない日本の事業計画は、誤った数字の上に立っています。

成功を捕える再算定

商業的成功はそれ自体が引き下げを招きます。市場拡大再算定は、収載時に用いた予測を実際の販売額が大きく上回った薬の価格を引き下げ、特例のルールが真の大型品にはさらに厳しく作用します。効能追加や用法用量の変化に伴う再算定も並行して存在します。

その論理は意図的です。制度は、想定を超えて成長した薬から予算を回収します。製造販売業者にとっては、成功した上市がまさに成功ゆえに罰せられうることを意味し、収載時に提出する販売予測は長い尾を引く価格上の帰結を持つため、楽観よりも現実的であることが報われます。

下支えする加算と、それがなぜ争われるのか

この下方圧力に対峙するのが、新薬創出・適応外薬解消等促進加算です。特許期間中の対象薬について毎年の改定による引き下げを相殺し、後発品が参入するまで価格を維持します。参入後は累積した加算分が回収されます。

対象となるかは製品要件に加え、日本に革新をもたらした実績を評価する企業要件によって決まります。これは革新的な製造販売業者にとって制度の中で最も影響の大きいてこであり、上市価格が持続するか、それとも初年度から侵食されるかの分かれ目です。同時に最も争われる論点でもあり、その範囲と企業要件は改定のたびに交渉されます。だからこそ革新的な産業、とりわけ外国の製造販売業者は、この点に直接関与します。

費用対効果:価格への二度目の視線

日本では2019年以降、高薬価かつ財政影響の大きい一部の製品について、正式な費用対効果評価が行われています。その内容は正確に理解すべきです。英国のNICEと異なり、これは給付の可否を決めません。給付は収載によって既に認められています。代わりに収載後に、増分費用効果比(一QALYあたりの費用)を定められた閾値と照らして、価格を上下に調整します。分析は国の公衆衛生機関を通じて行われ、結果は中医協の費用対効果評価専門部会を経て決まります。

対象となる製品は比較的少数ですが、高額な薬にとっては、上市後に到来する事実上二度目の価格決定であり、しかも企業が事後に対応するより事前に備えるべき医療経済学的エビデンスにかかっています。

これが公共政策の問題になるところ

以上の全ては二種類の仕事にきれいに分かれ、両者を混同することがよくある誤りです。

第一は、特定の製品について最良の価格を得ることです。比較薬の主張、加算の立証、原価の提出、医療経済学的な資料。これは薬価算定組織に対して行う規制・薬価上の作業であり、薬価の専門家と薬事の担当が担います。

第二は、ルールそのものです。価格をどのくらいの頻度で改定するか、維持加算の範囲と対象企業をどう定めるか、どの製品を費用対効果評価にかけるか、再算定の引き下げをどう調整するか、後発品と長期収載品をどう扱うか。いずれも固定ではありません。これらは中医協、その薬価専門部会、そしてより広い医療政策の過程を通じて定められ、改定のたびに、革新的産業・支払者・診療側がそれぞれの主張を押し合う交渉となります。日本の収益モデル全体がこれらのルールに依存する企業には、その行方に正当な利害があり、その利害は製品の申請ではなく政策の過程で追求されます。

日本での事業が薬価ルールの行方に左右されるなら、ぜひご相談ください

どう計画するか

  • 価格を上市の後ではなく一部として扱う。 収載は承認からおよそ二〜三か月で続きます。価格の立証はそれよりずっと前に組み立てておく必要があります。
  • 勝敗は比較薬で決まる。 比較薬がある場合、その選択がその後の全ての調整の基準を定めます。ない場合、原価計算はより晒されます。
  • 上市価格ではなく価格の軌跡をモデル化する。 毎年改定と再算定が収益曲線全体を形づくります。上市時の数字が最高点です。
  • 維持加算に頼る前にその条件を理解する。 製品と企業が該当するかが、上市価格が持続するか侵食されるかを決めます。
  • 高額品なら費用対効果評価に備える。 高額な製品にとって医療経済学的な立証は二度目の価格決定です。早くから準備してください。
  • 製品の申請とルールを分ける。 あなたの薬の最良の価格は申請であり、ルールの形は中医協で決まる政策の問題です。両者への関与の仕方は異なります。

なぜこれが日本の公共政策にとって重要なのか

薬価は、日本参入の中で最も技術的で最も決着済みの部分、委員会が数式を当てはめるだけの領域に見えます。個々の製品にとっては、おおむねそのように感じられます。しかし数式は固定ではありません。改定の頻度、革新を守る加算、費用対効果評価の範囲、長期収載品の扱い、成功への再算定は、いずれも生きた政策であり、定期的な周期で見直され、財政圧力の下にある支払者と、革新の投資回収を守る産業とが、反対方向へ押し合っています。日本の事業がこれらのパラメータに依存する製造販売業者にとって、価格は理解し、追跡し、関与しうる政策の下流にあります。自社製品の価格を主張することと、全ての価格を規律するルールを形づくることの違いを知ること、これこそが、与えられた数字を受け入れる企業と、その数字がどう決まるかに声を持つ企業とを分けるものです。

ジェミニ・グループは、製薬・医療技術企業に対し、日本の医療政策と薬価の環境、中医協と償還の過程、そしてそれを取り巻く公共政策戦略について助言しています。日本での価格と政策上の立ち位置について、お問い合わせください

関連記事:日本での医療機器・医薬品の上市は承認の側面を、PMDA解説はそれを決める規制機関を扱っています。

よくあるご質問

日本の薬の価格はどのように決まりますか。
日本では医療用医薬品ごとに単一の公定償還価格、すなわち薬価が定められ、薬価基準に収載されます。新薬の薬価は二つの方法のいずれかで算定されます。効能が類似する既存の比較薬に合わせる類似薬効比較方式か、適切な比較薬がない場合に原価から積み上げる原価計算方式です。算定された価格はさらに、米国・英国・ドイツ・フランスの価格の平均と調整されます。個別の価格は薬価算定組織が算定し、中央社会保険医療協議会(中医協)を経て決定されます。製造販売業者が自由に決める価格ではありません。
日本の薬価は誰が決めるのですか。
最終的には、中央社会保険医療協議会(中医協)の答申を踏まえ、厚生労働大臣が定めます。中医協は支払側・診療側・公益の三者で構成される審議会です。その中で、薬価算定組織が個々の製品の価格を算定し、薬価専門部会が全ての価格の算定・改定を規律するルールを定めます。個別の価格だけでなくルールそのものがここで決まる点が、日本での事業が価格に依存する企業にとって中医協が重心となる理由です。
新薬の薬価はどのように算定されますか。
二つの方法のいずれかです。効能・薬理が比較しうる既存薬があれば、類似薬効比較方式によりその比較薬に一日薬価を合わせ、そのうえで画期性・有用性・市場性・小児といった補正加算を加えます。適切な比較薬がない場合は原価計算方式により、製造原価・流通経費・研究開発費・営業利益を積み上げて算定し、営業利益率は革新性の度合いと開示の透明性によって調整されます。いずれの結果も、最後に外国平均価格調整によって上下の枠がはめられます。
外国平均価格調整とは何ですか。
新薬について算定された日本の価格を、米国・英国・ドイツ・フランスの各国での薬価の平均と比較するルールです。日本の価格がその平均を大きく上回る場合は平均に向けて引き下げられ、大きく下回る場合は引き上げられます。日本の価格が主要参照国から乖離しすぎないようにする仕組みであり、これらの市場での企業の価格設定が日本で得られる価格に直接影響することを意味します。
日本の薬価はどのくらいの頻度で改定されますか。
毎年です。かつては診療報酬改定に合わせて二年に一度でしたが、2021年以降は薬価調査で把握した実際の取引価格に基づき毎年改定されています。実勢価格は公定薬価を下回るため、改定のたびに公定薬価は引き下げられます。製品の寿命を通じて薬価は一方向、すなわち下方向に動きます。上市時の薬価を前提に日本事業を計画するのは誤りで、収益曲線全体が改定ルールによって形づくられます。
日本の費用対効果評価(HTA)とは何ですか。
日本では2019年以降、高薬価かつ財政影響の大きい一部の医薬品・医療機器について、費用対効果評価が制度化されています。英国のNICEなどと異なり、この評価は保険給付の可否を決めるものではありません。収載によって給付は既に認められており、評価は収載後に、増分費用効果比(一QALYあたりの費用)を定められた閾値と照らして、価格を上下に調整します。分析は国立の機関(C2H)が担い、結果は中医協の費用対効果評価専門部会を経て決まります。対象は少数ですが、高額な製品にとっては価格の二度目の実質的な決定となります。
新薬創出加算とは何ですか。
新薬創出・適応外薬解消等促進加算は、特許期間中の対象新薬を毎年の改定による引き下げから守り、後発品が参入するまで実質的に価格を維持する仕組みです。後発品参入後は、累積した加算分が回収されます。対象となるかは製品要件に加え、日本における革新的新薬の実績を評価する企業要件によって決まります。革新的な上市価格が初年度から侵食されるか、それとも維持されるかを分ける、制度の中で最も影響が大きく、最も争われる論点の一つであり、その範囲と企業要件は改定のたびに交渉されます。だからこそ革新的な製造販売業者はこの点に直接関与します。