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医療機器・医薬品を日本市場に投入するには(2026年版ガイド)

クラス分類が経路を決め、経路が日程を決めます。第三者認証は90日、厚生労働省の承認は10か月。必要な許可、外国製造業者の手続、各段階の標準処理期間を整理します。

医療機器・医薬品を日本市場に投入するには(2026年版ガイド)
写真:医薬品の容器と錠剤/撮影:Yinan Chen、パブリックドメイン。日本では、化学的な性質ではなくクラス分類が、製品がこの段階に至るまでの期間を決めます。

クラス分類が経路を決め、経路が日程を決めます。 外資系企業が日本で医療機器や医薬品を上市するうえで理解しておくべきことの大半は、この一文に集約されます。

手続そのものは文書化されており、標準処理期間も公表されています。経路が特別に不透明なわけではありません。企業がつまずくのは、製品が想定より一つ上のクラスに該当すると後から判明する場合、あるいは承認済み品目への変更が届出ではなく改めての承認を要すると判明する場合です。これらは書類上の問題ではなく、四半期単位で日程が動く問題です。

本稿では、必要な許可、経路、外国製造業者に関する手続、そして各段階の公表されている所要期間を整理します。機関そのものについては PMDAの解説 をあわせてご覧ください。

ステップ1:許可を持つ日本法人が必要

製品の議論の前に、体制の議論があります。日本における製造販売の権限は 製造販売業者(MAH) が持ち、これは日本国内の事業者でなければなりません。海外法人が直接保有することはできません。

海外のブランドではなく、この事業者が日本国内における品質、安全性、表示に関する法的責任を負います。総括製造販売責任者等の設置と、品質管理・安全管理の体制整備も求められます。

見落とされやすい点が二つあります。

  • 医薬品と医療機器では許可が別です。 医薬品の製造販売業許可は薬機法第12条、医療機器は第23条の2に基づくもので、双方を扱う企業は両方を取得する必要があります。いずれの更新も標準処理期間は 20日、手数料を要します。
  • 自社で法人を設立する必要は必ずしもありません。 第三者に製造販売業者を委ねる形は一般的で、適法です。ただし権限はその事業者が持つことになり、後から移管することは容易ではありません。

ステップ2:クラス分類がその後のすべてを決める

日程を決定づける判断であり、企業側の希望ではなく製品のリスク分類によって決まります。

医療機器:三つの経路

クラス経路根拠条文標準処理期間年間件数
一般医療機器(クラスI)届出薬機法 第23条の2の12届出多数
管理医療機器(クラスII)認証(登録認証機関)第23条の2の23第1項90日約761件
高度管理医療機器(クラスIII・IV)承認(厚労省、PMDA審査)第23条の2の5第1項10月約351件

認証と承認では、公表されている期間に約3.4倍の差があります。 理由は手続の性質です。認証は既存の認証基準への適合性を確認するもので、登録認証機関が発行します。承認は安全性と有効性を改めて評価するもので、PMDAが審査し厚生労働省が与えます。

認証基準の範囲に収まる製品であれば、認証の経路は明らかに速くなります。収まるかどうかは技術的・規制的な判断であり、設計と使用目的が固まった後では見直しがきわめて困難なため、早い段階で決着させる価値があります。

体外診断用医薬品の承認は、標準処理期間 12か月、年間およそ63件です。

医薬品:まず治験の段階から

医薬品ではより前の段階から始まります。薬機法第80条の2第2項に基づく 治験計画届 は、標準処理期間 30日、手数料なしで、年間およそ 558件 が提出されています。この30日が、日本での開発計画が規制当局から見える状態になる時点です。

届出済みの計画の変更届は標準処理期間 1日、年間約 5,660件 です。最初の届出が入口であり、その後の変更は日常的な手続として処理されます。

ステップ3:見落とされやすい外国製造業者の手続

製品を日本国外で製造している場合、自社ではなく製造所に対して二つの義務が生じます。

手続根拠条文標準処理期間年間件数
外国製造業者の登録第23条の2の4第1項非公表約651件
外国製造業者の登録の更新第23条の2の4第2項非公表約946件
医療機器の適合性調査(QMS)第23条の2の5第7項6月約610件
医薬品の適合性調査(GMP)第22条第1項6月約3,900件
外国製造医療機器の製造販売承認第23条の2の17第1項10月約70件

6か月の適合性調査は、上市計画から最も抜け落ちやすい工程です。自社ではなく製造所の書類と受査体制に依存するため、委託製造の場合は自社でコントロールできない相手に日程が左右されます。規制当局への申請と同時並行でこの協議を始めるかどうかが、この工程で最も効果の大きい判断です。

ステップ4:市販後の義務は上市後ではなく上市前に備える

承認は義務の終わりではなく始まりです。件数がその規模を示しています。

  • 医療機器の不具合・感染症の報告:年間およそ 337,900件、報告期限は原則として翌日。
  • 医薬品・医薬部外品・化粧品の副作用・感染症等の報告:年間およそ 1,205,000件、標準処理期間5日。
  • 検定(該当する場合):130日、年間およそ993件。

製造販売業者は、初日からこれらに対応できる体制を備えている必要があります。報告の期限は短く、単一製品の企業だからといって緩和されるものではありません。

ステップ5:変更管理という落とし穴

上市計画が最も崩れやすいのがこの段階であり、幅が大きいだけに明示しておく価値があります。

変更の種類標準処理期間
医療機器:認証事項の一部変更認証45日
医療機器:承認事項の一部変更承認10月
医薬品:軽微変更の届出(第14条第16項)1週
医薬品:一部変更承認(第14条第15項)12月

医薬品では軽微変更と一部変更のあいだに 約50倍 の差があり、件数を見ると実態がわかります。軽微変更の届出が年間およそ 21,232件 に対し、一部変更承認は約 3,083件。多くの変更は届出で処理されており、そうでないものは1年を要しうるということです。

ある変更がどちらに区分されるかは規制上の判断であり、最初の指摘で譲るのではなく、準備したうえで議論する価値のある論点です。

計画の立て方

目標とする上市時期から逆算すると、次のようになります。

  • まずクラス分類を確定する。 医療機器のクラスと認証基準の適用可否が、90日の経路か10か月の経路かを決めます。
  • 外国製造業者の手続は並行して進める。 6か月の適合性調査を申請と並行させるのと、申請の後に積み上げるのとでは、意味がまったく異なります。
  • 製造販売業の体制を早期に決める。 法人設立と責任者の設置には時間がかかり、許可が存在しなければ何も保有できません。
  • 変更管理の方針を申請と同時に設計する。 承認申請で何を約束するかが、後にどこまでが一部変更に当たるかを規定します。
  • 市販後の報告体制を承認前に整える。 義務は直ちに始まり、期限は日単位です。

上記の数値についての注意点です。標準処理期間は審査を行う側が定める目標であり、申請者側での補正に要する期間は通常算入されません。見積りではなく下限としてお考えください。不備のある申請は、公表されている期間より大幅に長くかかります。

パブリックアフェアーズが関わる範囲

ここまでの大半は薬事(レギュラトリー・アフェアーズ)の実務であり、有能な薬事コンサルタントや社内の薬事部門が担う領域です。パブリックアフェアーズが関わるのはその周縁であり、そして想定外のコストが生じるのもその周縁です。クラス分類の境界が本当に不明確な場合、製品カテゴリーが認証基準の整備に先行している場合、償還価格の判断が承認済み製品の事業性を左右する場合、そして自社の分野を規定するルールが、審議会でまだ策定されている段階にある場合です。

これらは「どう遵守するか」ではなく「ルールがどう作られるか」の問題です。その段階にある場合は、お問い合わせ よりご相談ください。

関連記事:PMDAの解説 では機関そのものを、市場参入の規制マッピング・チェックリスト ではどの機関が自社に関わるかを、日本の政策カレンダー ではルール自体がいつ決まるのかを扱っています。

よくあるご質問

日本で医療機器や医薬品を販売するにはどの許可が必要ですか。
薬機法に基づく製造販売業許可を持つ日本国内の事業者が必要です。この事業者が、日本国内における品質、安全性、表示に関する法的責任を負います。海外法人が直接この許可を持つことはできません。なお、医薬品と医療機器では根拠条文が異なる別個の許可となるため、双方を扱う企業は両方を取得する必要があります。
医療機器の承認にはどのくらいかかりますか。
クラス分類によって大きく異なります。認証基準に適合する管理医療機器(クラスII)は第三者認証機関による認証で、標準処理期間は90日です。高度管理医療機器(クラスIII・IV)は厚生労働省の承認が必要で、標準処理期間は10か月です。申請の速さではなくクラス分類によって、約3.4倍の差が生じます。
承認と認証はどう違いますか。
承認は、PMDAの審査を経て厚生労働省が与えるもので、リスクの高い医療機器と医薬品に必要です。認証は、登録認証機関が発行するもので、認証基準に適合するクラスIIの医療機器が対象です。認証のほうが早いのは、安全性と有効性を一から評価するのではなく、既存の基準への適合性を確認する手続だからです。
治験計画届の標準処理期間はどのくらいですか。
30日です。薬機法第80条の2第2項に基づく医薬品の治験計画届は、標準処理期間30日、手数料なしとされ、年間およそ558件が提出されています。届出済みの計画の変更届は標準処理期間1日で、年間約5,660件です。
海外の製造所も登録が必要ですか。
必要です。日本市場に供給する外国製造業者は登録を要し、年間およそ651件の登録と946件の更新が行われています。これとは別に、品質管理システムの適合性調査があり、標準処理期間は6か月、手数料を要します。この工程は自社ではなく製造所側の書類に依存するため、外資系企業が最も過小評価しやすい段階です。
承認後に製品を変更する場合はどうなりますか。
変更がどう区分されるかによって、要する期間が大きく変わります。医療機器では、認証事項の一部変更認証が45日、承認事項の一部変更承認が10か月です。医薬品では、軽微変更の届出が1週間、一部変更承認が12か月です。ある変更がどちらに当たるかは、安易に譲らず慎重に議論する価値があります。