高市改造内閣(2026年9月):新任閣僚・首相補佐官の顔ぶれと経歴
2026年9月17日の内閣改造で、閣僚・官房副長官に11人、首相補佐官に3人が新たに起用されました。新任者一人ひとりの経歴と、前任者・引き継いだ担当をまとめます。
2026年9月17日、高市首相は内閣を改造し、第二次高市改造内閣が発足しました。今回の改造では、閣僚・官房副長官に11人、首相補佐官に3人が新たに起用された一方、経済・財政・防衛の中核閣僚は留任しました。
高市首相は今回の改造について、派閥への配慮ではなく各閣僚の専門性に基づいて政策の実行を前に進めるためのものだと説明しています。あわせて、連立を組む日本維新の会が初めて閣内に加わりました。全体としては、政策の方向性を大きく変えるものというより、狙いを絞った人事の刷新といえます。
以下では、新たに起用された一人ひとりについて、その人物像、これまでの経歴、就任したポストを紹介します。各項目には前任者も記しています。
新任者の一覧
| ポスト | 新任 | 前任 |
|---|---|---|
| 総務大臣 | 藤井 比早之 | 林 芳正 |
| 法務大臣 | 山下 貴司 | 平口 洋 |
| 文部科学大臣 | 関 芳弘 | 松本 洋平 |
| 農林水産大臣 | 簗 和生 | 鈴木 憲和 |
| 国土交通大臣 | 井林 辰憲 | 金子 恭之 |
| 環境大臣 | 笹川 博義 | 石原 宏高 |
| デジタル大臣 | 古川 俊治 | 松本 尚 |
| 復興大臣/防災担当 | 細野 豪志 | 牧野 たかお |
| 国家公安委員会委員長 | 葉梨 康弘 | あかま 二郎 |
| 行政改革・こども政策・規制改革担当 | 中司 宏 | 黄川田 仁志、城内 実、松本 尚の各担当を集約 |
| 内閣官房副長官(参議院) | 中西 祐介 | 佐藤 啓 |
| 首相補佐官(国家安全保障) | 若宮 健嗣 | 尾上 定正 |
| 首相補佐官(地域未来戦略) | 佐々木 紀 | 井上 貴博 |
| 首相補佐官(物価高対策・責任ある積極財政・デジタル政策) | 松本 尚 | 松島 みどり |
新任の閣僚
総務大臣 藤井 比早之(ふじい ひさゆき)
総務大臣/内閣府特命担当大臣(地方創生)/地域未来戦略担当/副首都整備等推進担当
新任(初入閣)。林 芳正氏の後任。地方創生は黄川田 仁志氏から引き継ぐ。自民党・衆議院 兵庫4区(当選6回)・1971年 西脇市生まれ
総務省出身で、古巣の省のトップに就きます。内閣府副大臣(2020年、2021年にはワクチン接種を担当)、初代デジタル副大臣(2021年)、外務副大臣(2024年)、自民党外交部会長、衆議院農林水産委員長(2025年)を歴任しました。副首都整備の担当は、連立相手の日本維新の会が重視する大阪「副首都」構想を反映したものです。
法務大臣 山下 貴司(やました たかし)
法務大臣/内閣府特命担当大臣(男女共同参画)/女性活躍担当/法制度検証・改革担当
同ポストに再任(閣僚経験者)。平口 洋氏の後任。男女共同参画は黄川田 仁志氏から引き継ぐ。自民党・衆議院 岡山2区(当選6回)・1965年 高松市生まれ
東京地方検察庁の元検事で、フルブライト奨学生としてコロンビア大学ロースクールを修了。法務大臣政務官(2017〜18年)を経て、第4次安倍改造内閣で法務大臣(2018〜19年)を務め、直近は衆議院内閣委員長でした。2度目の法務大臣就任で、今回は法制度の検証・改革という任務も担います。
文部科学大臣 関 芳弘(せき よしひろ)
文部科学大臣
新任(初入閣)。松本 洋平氏の後任。自民党・衆議院 兵庫3区(当選7回)・1965年 小松島市生まれ
住友銀行の元銀行員で、英国でMBAを取得。環境副大臣(2016年)、経済産業副大臣(2018年)、自民党環境部会長、衆議院環境委員長(2021年)、災害対策特別委員長(2026年)を歴任しました。教育分野の専門家が務めることの多い省に、民間出身で産業政策に通じた人物が就きます。
農林水産大臣 簗 和生(やな かずお)
農林水産大臣
新任(初入閣)。鈴木 憲和氏の後任。自民党・衆議院 栃木3区(当選6回)・1979年 東京都生まれ
慶應義塾大学商学部卒業、2012年初当選。国土交通大臣政務官(2017年)、自民党農林部会長(2021年)、文部科学副大臣(2022年)、衆議院安全保障委員長(2023年)を歴任しました。鍵となる経歴は農林部会長で、米価と食料安全保障の課題を引き継ぎます。
国土交通大臣 井林 辰憲(いばやし たつのり)
国土交通大臣/水循環政策担当/国際園芸博覧会担当
新任(初入閣)。金子 恭之氏の後任。自民党・衆議院 静岡2区(当選6回)・1976年生まれ
京都大学で環境工学を学び、国土交通省のキャリア官僚を経て2012年に政界入りし、今回はその省の大臣として戻ります。環境大臣政務官、自民党財務金融部会長、内閣府副大臣、衆議院財務金融委員長を歴任しました。技術系官僚出身者の国交相起用は、インフラ、物流、データセンター向け送電網といった課題での継続性を示すものです。
環境大臣 笹川 博義(ささがわ ひろよし)
環境大臣/内閣府特命担当大臣(原子力防災)/クマ被害対策担当
新任(初入閣)。石原 宏高氏の後任。自民党・衆議院 群馬3区(当選6回)・1966年 東京都生まれ
群馬県議会議員を経て国政入り。政府でのキャリアの多くを環境省で重ね、環境大臣政務官(2017〜19年)、環境副大臣(菅内閣、2020年)を務めた後、衆議院農林水産委員長、石破内閣で農林水産副大臣を歴任しました。自民党の鳥獣被害対策特別委員長としてクマ問題に取り組んできました。クマによる被害が全国で相次ぎ、地方では政治的に切実な課題となっているため、新設のクマ被害対策担当は注目されるポストです。
デジタル大臣 古川 俊治(ふるかわ としはる)
デジタル大臣/AI・デジタル改革推進担当/サイバー安全保障担当/コンテンツ戦略担当/内閣府特命担当大臣(知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策、人工知能戦略、海洋政策、サイバー安全保障)
新任(初入閣)。松本 尚氏の後任。知的財産、科学技術、宇宙、AIは小野田 紀美氏から、海洋政策はあかま 二郎氏から引き継ぐ。自民党・参議院 埼玉県選挙区(当選4回)・1963年 埼玉県生まれ
外科医(慶應義塾大学医学部卒、医学博士)で、弁護士資格とMBAも持ちます。参議院では財政金融、国家基本政策、政治改革、地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会の委員長を歴任した、屈指の委員長経験者です。自民党厚生労働部会長・法務部会長、参議院自民党政策審議会長も務めました。担当は前任者より大幅に広く、デジタル庁とサイバー安全保障に加え、科学技術、宇宙、AI、知的財産、海洋の各政策を一人の大臣が束ねます。
復興大臣・防災担当 細野 豪志(ほその ごうし)
復興大臣/内閣府特命担当大臣(防災)/福島原子力発電所事故再生総括担当/防災庁設置準備担当/国土強靱化担当/国際防災協力担当
新任(閣僚経験者)。牧野 たかお氏の後任。防災はあかま 二郎氏から引き継ぐ。自民党・衆議院 静岡5区(当選10回)・1971年 綾部市生まれ
内閣で唯一の旧民主党政権の閣僚経験者です。前回の閣僚時代には、環境大臣兼原発事故の収束及び再発防止担当大臣(2011〜12年)として福島第一原発事故への対応を指揮しました。その後、民主党幹事長や、2度にわたる政務調査会長を務め、2021年に自民党に移ってからは政務調査会副会長に就きました。15年前に自ら手がけた福島の課題を再び担い、新設される防災庁の立ち上げも担当します。
国家公安委員会委員長 葉梨 康弘(はなし やすひろ)
国家公安委員会委員長/領土問題担当/CBRNEテロ対策担当/内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、消費者及び食品安全、アイヌ施策)
新任(閣僚経験者)。国家公安委員会委員長としてあかま 二郎氏の後任。沖縄、消費者、アイヌ施策は黄川田 仁志氏から引き継ぐ。自民党・衆議院 茨城3区(当選8回)・1959年 三鷹市生まれ
警察庁出身で、国家公安委員長は自然な起用といえます。衆議院法務委員長(2018年)、農林水産副大臣(2020年)を経て、第2次岸田改造内閣(2022年8月)で法務大臣に就任しましたが、死刑をめぐる発言で同年11月に辞任しました。2025年から自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会長を務め、復権を果たしました。
行政改革・こども政策・規制改革担当大臣 中司 宏(なかつか ひろし)
行政改革担当/国家公務員制度担当/内閣府特命担当大臣(こども政策、少子化対策、若者活躍、規制改革、共生・共助)
新任(初入閣)。高市政権で日本維新の会から初の閣僚。こども政策、少子化対策、若者活躍、共生・共助は黄川田 仁志氏から、規制改革は城内 実氏から、行政改革は松本 尚氏から引き継ぐ。日本維新の会・衆議院 大阪11区(当選3回)・1956年 枚方市生まれ
産経新聞の元政治部記者で、長く大阪の地方政治に携わりました。大阪府議会議員を経て、枚方市長を4期務めています。2021年に衆議院初当選、日本維新の会の元幹事長です。規制改革と行政改革は同党の看板政策であり、その起用によって、これまでの2つの高市内閣が自民党単独だった構成に終止符が打たれました。
内閣官房副長官 中西 祐介(なかにし ゆうすけ)
内閣官房副長官(政務・参議院)
新任。佐藤 啓氏の後任。自民党・参議院 徳島・高知選挙区(当選3回)・1979年 阿南市生まれ
慶應義塾大学法学部卒業、2010年初当選。財務大臣政務官(2015年)、総務副大臣(岸田内閣)を務め、参議院では財政金融、文教科学、予算の各委員長を歴任しました。参議院自民党の政務調査会副会長も務めています。官邸と参議院自民党をつなぐ役割を担います。
新任の首相補佐官
5つの首相補佐官ポストのうち、3つで交代がありました。
内閣総理大臣補佐官(国家安全保障) 若宮 健嗣(わかみや けんじ)
内閣総理大臣補佐官(国家安全保障に関する重要政策及び核軍縮・不拡散問題担当)
新任。政界外から起用されていた元航空自衛隊空将、尾上 定正氏の後任。自民党・衆議院 東京5区(当選6回)・1961年 東京都生まれ
外務副大臣(第4次安倍内閣)、自民党国防部会長、衆議院安全保障委員長を経て、岸田内閣(2021〜22年)で消費者及び食品安全、クールジャパン戦略、知的財産戦略、デジタル田園都市国家構想を担当する国務大臣を務めました。その後、自民党副幹事長、経理局長、政務調査会副会長、防衛大臣補佐官を歴任。制服組の専門家から党の重鎮へとポストが移ったことで、国家安全保障会議の案件を政治家が担う形になります。
内閣総理大臣補佐官(地域未来戦略) 佐々木 紀(ささき はじめ)
内閣総理大臣補佐官(地域未来戦略担当)
新任。井上 貴博氏の後任。自民党・衆議院 石川2区
2012年から衆議院議員を務め、直近は国土交通副大臣。2024年の能登半島地震で被災した石川県の選出です。地域未来戦略の担当は、総務大臣に就いた藤井 比早之氏が持つ同じ担当と対をなします。
内閣総理大臣補佐官(物価高対策・責任ある積極財政・デジタル政策) 松本 尚(まつもと ひさし)
内閣総理大臣補佐官(物価高対策・責任ある積極財政・デジタル政策担当)
閣内から転じて新たな担当に。松島 みどり氏が退いた補佐官ポストに就く(松島氏の外国人政策担当は廃止)。自民党・衆議院 千葉13区(当選3回)・1962年 金沢市生まれ
救急医で、政界入り前は日本医科大学救急医学教授、同大学千葉北総病院救命救急センター長を務めました。防衛大臣政務官(岸田内閣)、石破内閣で外務大臣政務官を経て、これまでの2つの高市内閣でデジタル大臣(サイバー安全保障、行政改革、国家公務員制度を兼務)を務めました。閣外に出て、首相自身の財政方針である「責任ある積極財政」と物価高対策を軸とする官邸の新ポストに就き、官邸内からデジタル政策にも引き続き関わります。
今後の見通し
高市首相の自民党総裁任期は2027年9月までです。体制を刷新する大きな政治的契機がない限り、この内閣が今後1年間を担うことになります。今回留任した閣僚については、高市内閣の閣僚を解説した記事をご覧ください。
肖像写真:首相官邸
よくあるご質問
- 2026年の高市内閣の改造はいつ行われましたか。
- 高市首相は2026年9月17日に内閣を改造し、第二次高市改造内閣が発足しました。閣僚・官房副長官に11人、首相補佐官に3人が新たに起用された一方、経済・財政・防衛の中核閣僚は留任しました。
- 日本維新の会は高市内閣に入閣していますか。
- 入閣しています。中司宏氏が行政改革担当、国家公務員制度担当、内閣府特命担当大臣(こども政策、少子化対策、若者活躍、規制改革、共生・共助)に就任しました。高市政権で日本維新の会から初の閣僚で、これまでの2つの高市内閣が自民党単独の構成だったことに終止符を打ちました。
- 新しいデジタル大臣は誰ですか。
- 参議院埼玉県選挙区選出の古川俊治氏です。外科医であり、弁護士資格とMBAも持ちます。前任は松本尚氏で、デジタル庁とサイバー安全保障に加え、科学技術、宇宙、AI、知的財産、海洋の各政策を一人の大臣が束ねる、前任者より大幅に広い担当となりました。
- 今回の高市内閣はいつまで続く見通しですか。
- 高市首相の自民党総裁任期は2027年9月までです。体制を刷新する大きな政治的契機がない限り、この内閣が今後1年間を担うことになります。