成功をもたらすPA活動メソッド
アラン・ハーダカー、ポール・ショットン
PA活動成功の基準:キャンペーン成功の定義とは?
PA活動における成功の一番の基準とは何でしょうか? 組織としてPA活動の目標を達成すること。アドボカシー活動を強化すること。組織の協力を得ながらチームとして働くこと。データに基づき意思決定すること。柔軟かつ迅速に戦略的選択を実行すること。自らのキャリアにおける成長を経験すること。これらすべて、もしくはそれ以上のことでしょうか?
PA活動戦略におけるアドボカシー・メソッドのパワー
今回の投稿では、PA活動の成功の鍵は、アドボカシー戦略を立てるためのメソッドにあることをご説明いたします。私たちは包括的なアドボカシー戦略が持つ革新力に確信をもっており、7ステップからなるアドボカシー・メソッドの開発とAdvocacy Academyの設立に至りました。私たちふたりはアドボカシープロセス構築のための手法を構築していましたが、それは我々だけではありませんでした。アラン・ハーダカーの場合、民間企業において、また、アーロン・マクローリンとの共著「EU機関との連携方法: EUで成功を収めるためのPA活動実践ガイド(How to Work with the EU Institutions: A Practical Guide to Successful Public Affairs in the EU)」において、アドボカシーを成功させるために有効なプロセスを提示していました。同様に、学生やアドボカシー専門家に対しPA活動やアドボカシーの指導を行うポール・ショットンも、独自のメソッドを確立していました。
7ステップ・アドボカシー・メソッドとは
7ステップ・アドボカシー・メソッドは、これらの取り組みの集大成と言えます。それまでのPA活動の経験から、ノウハウや豊富なベストプラクティスを結集させることで、既存の基盤を出発点とし、より優れたPA活動メソッドを確立できると気付いたのです。アドボカシーを段階的なプロセスに分解し、クラス最高のPA活動を実現するために使いやすいフレームワークを提供すること。それを我々のゴールと位置付けました。もちろん、現在進行形でPA活動に携わっている人を支援したいと考えていますが、それ以上に重視しているのは、みなさんが自身やチーム、組織のために持続的なPA活動の基盤を構築できるようサポートすることです。これを実現するための鍵は、「優先順位付け」「情報収集」「ポジショニング」「情報管理」「エンゲージメント」「マネジメント」「評価」の7ステップすべてにおいて、知識、スキル、ツール、テンプレートを組み合わせることです。
アドボカシープロセスの構築が成功の鍵となる理由
東京を拠点としている我々のパートナー、ジェミナイ・グループとともに、現地ならではの専門知識と私たちのメソッドをどのように結びつけ、展開していけるかを議論していく予定です。この手法は統一されたPA活動プロセスを構築するため、国外に拠点を持つ日本企業にとっても役立つと考えています。私たちのツールをご活用いただければ、皆さんの組織や拠点、正確なニーズに合わせ、独自のPA活動戦略を立てることができます。
詳しくご説明いたしましょう。
日本における7ステップ・アドボカシー・メソッドの活用
個々のPA活動は、その課題や外的要因、組織、チーム、リソースなどにより異なってきます。複数の国や国際的な文脈にまたがる場合は、特にこの傾向が強まります。ある国で有効だった手法が、別の国では裏目に出てしまうこともあります。例えば、日本では合意形成が非常に重要です。これは「根回し」と言われるもので、正式決定の前にステークホルダーと個別にコンタクトを持ち、提案への土台を築いておきます。これにより、PA活動の担当者は支援を集め、懸念事項に対処し、可能な限り反対を受けない形でキャンペーンを進めることができます。
日本でのPA活動において重要な要素は他にもあります。例えば強力に中央集権化された官僚制度、行間を読み空気を察することを重視する文化、CSRの独自アプローチなどです。私たちのメソッドとジェミニ・グループのような現地ならではの専門性を活用し、的確に構築されたPA活動であれば、目的を達成することができるでしょう。
7ステップ・メソッドを取り入れたPA活動成功戦略の策定
キャンペーンは、受けたフィードバックに対してだけでなく、状況にも適応しなくてはなりません。戦略は常に変化するものであり、すべてに当てはまるような戦略はありません。戦略も、それを実行するチームも、時間と状況に応じて進化していく必要があります。それぞれのキャンペーンごとにゴールを設定し、そこから逆算して活動とリソースを決定するために、団結して調査や分析を行うことが必要です。これが結果や成功の測定、評価に繋がります。では、自信を持ってそのような戦略を立てるには、どうすればよいのでしょうか。戦略が的確であると、どう保証すればよいのでしょう。そして、これらをすべての活動拠点で同様に行うためには、どうすればよいのでしょうか。
アドボカシー活動をステップごとに評価し、次のステップへと繋げていく重要性
チームとして戦略を立て、実行するには、アドボカシーの構成要素を明確に把握しておく必要があります。つまり、クリアに構築されたメソッドが必要です。私たちのメソッドは7つのステップからなります。皆さんやチームが、実行すべきことのすべての側面を落ち着いて評価できる時。その時に初めて、改良と変革が可能になります。皆さんが業界のベストプラクティスに沿って構築できるよう、私たちはステップごとにツールとテンプレートを用意しております。7ステップのそれぞれの成果は、その次のステップ、そして最終的には戦略全体の構築に繋がっていきます。同時に、各ステップは継続的なプロセスであり、常に成果を出し、それによってキャンペーンや戦略的選択およびそれらの実装を洗練させていきます。
7ステップ・アドボカシー・メソッドは、いかにしてPA活動のチーム強度を高めるのか
このメソッドは順序だててステップを踏んでいくものですが、各ステップは、対応すべき課題の特定から始まる、継続的なプロセスだととらえてください。この継続性は、私たちのメソッドにおいては情報収集、情報管理、評価の3ステップに顕著であり、アドボカシーのプロセス全体に通底しています。つまり、課題の特定と優先度設定、SMARTゴールとKPIの定義から始まり、達成目標やその方法の継続的評価のためにKPIをどう活用するのかという点に至るまで、多段階のエンドツーエンドプロセスを表しているのがこの7ステップです。このステップに沿うことで、私たちは先に備えることができます。このメソッドを通してPA活動をとらえることにより、国や業界を問わない統一されたアプローチに基づいて各要素を個別に捉えて、完璧に理解および実践することが可能になります。また、各ステップ間でのナレッジやインサイトの移行・引継ぎに対する理解が深まることも、重要なポイントとです。
7ステップ・アドボカシー・メソッドがもたらす主なメリット4点
まとめますと、7ステップ・アドボカシー・メソッドがPA活動担当者にもたらす主要なメリットは以下の4点です。
本メソッドは、アドボカシー活動のプロセスを細分化する手法を提供いたします。これはプロセス全体において有効な手法であり、1~2分野にだけ限ったものではありません。PA活動の成功確率を高めたいのであれば、アドボカシー・メソッドの全体を通して成果を出す必要があります。
アドボカシー戦略の完成度を高める、包括的フレームワークを提供いたします。成功を収めるためには、1つのキャンペーンから次のキャンペーンまで、一連の活動すべてで成果を上げることが必要です。
アドボカシー活動の長期的な改善に寄与します。このメソッドを適用することで、個人としてもチームとしても、アドボカシー活動の手法に長期的な変化をもたらします。
本メソッドを活用することで、アドボカシー戦略の順応性を高めます。内的および外的状況に変化があったとしても、戦略のどの面を適応させるべきかの理解が深まり、他領域への影響も判断しやすくなります。
PA活動におけるナレッジ、スキル、ツールの役割
チームがどのように連携してPA活動戦略を策定し、実行するか。それらを体系化するという点でも本メソッドは重要です。戦略の各ステップを詳細にマッピングすることでチーム内の透明性を高め、担当と責任を明確にする点でも役立ちます。重要なのは、全体に対し、自分の働きがどんな貢献もたらすか把握できることです。PA活動は学際的な専門職であり、多くの人は政治、法律、コミュニケーション、ビジネスの知識を活用します。PA活動自体の教育を受けている人は、ごく少数です。ほとんどの人が、PA活動に対する知識やスキルなどのツールをもたないままキャリアをスタートさせ、実践を通して学んでいます。この問題点に対処するため、本メソッドの各ステップでは業界リーダーと同等の働きをするために必要なナレッジ、スキル、ツール、テクニック、テンプレートを用意しています。
7ステップ・ツールキットの活用でアドボカシー活動を加速化
知識とスキルが重要であることは言うまでもありませんが、ツールとテンプレートも同様に重要です。PA活動は、実践的な応用専門職です。実践的な理論は政治プロセスやコミュニケーション戦略の理解・説明に役立ちますが、PA活動のプロフェッショナルならば、アドボカシーのツールを十分に活用できるスキルも必要です。そういったツールは、PA活動の専門家でもマスターするまでに何年もかかることがめずらしくありません。ですが、私たちの7ステップ・メソッドとテンプレートを使用すれば、クラス最高峰のスキルの習得が一気に進み、PA活動成功の可能性を瞬時に高められます。
現地特有の専門性を誇るパートナーとともに、PA活動のインパクトを最大化
成功の可能性は、現地ならではの専門性を誇る有識者と連携することでさらに高まります。私たちのメソッドと現地有識者の経験と知識を活用すれば、あなたのPA活動は狙いどおりの効果を発揮できると保証いたします。
先を見据えて:7ステップ・メソッドをステップごとに深掘り
今後の投稿では、7ステップそれぞれについて目的を明確に定義するとともに、業界リーダーに必要な知識、スキル、ツール、テンプレートについて解説いたします。また、各ステップがどのように連携し、キャンペーン全体を形成していくかも説明いたします。そうすることによりベストプラクティスを共有し、最高のPA活動戦略の構築方法について、業界内でよりオープンな議論が育まれることを期待いたします。
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著者プロフィール
アラン・ハーデイクル博士は、アドボカシーおよびPA活動の分野で名高い専門家であり、トップレベルのPA活動の策定と提供する。Imperial Brandsのグループ企業広報担当ディレクターとしての経歴を持ち、CropLife Africa & Middle EastやEuropean Tyre and Rubber Manufacturers Associationなど幅広いクライアントにコンサルティングを行う。Loughborough大学にて国際政治学および政治学の博士号を取得。
ポール・ショットン博士は、ブリュッセルのAdvocacy Strategy and Advocacy Academyの共同創設者であり、イノベーションを通じたアドボカシー実務の専門化を推進、またリサーチと実践の橋渡しに尽力している。ブリュッセル、ロンドン、ハーグで20年以上にわたりメディア、業界団体、企業、NGO、学術分野で活動してきた経験を持つ。専門家や学生と共にアドボカシー活動を探求するという強い情熱が、アドボカシーのプロセス構築およびベストプラクティス追求への原動力となっている。フランスのNancy 第2大学にて情報コミュニケーション科学の博士号を取得。